皇室に嫁がれた美智子様がストレスで声が出なくなるほど悩み、苦しまれたときに繰り返し、繰り返し読まれたのが、詩人カリール・ジブランの『預言者』という本でした。
この本には、下記の詩以外にも、「子供について」「喜びと悲しみについて」「苦しみについて」などいくつものいい詩があります。
愛について
愛があなたをさし招いたなら、愛に従いなさい。
たとえ、その道がどんなに厳しく険しくても。
愛の翼があなたがたを包んだなら、愛に身をゆだねなさい。
たとえ、その翼に潜む刃が、あなたを傷つけても。
愛があなたに語りかけたら、愛を信じなさい。
たとえその声が庭を荒らす北風のように、あなたの夢を打ち砕いても。
なぜなら、愛は、あなたに栄冠を与えると同様に、あなたを十字架につけるのです。
愛は、あなたを育て、また刈り込みます。
愛は、あなたの梢にのぼって、陽射しに揺れる小枝を愛撫し、また、たちまち足元にくだって、土におろした根を揺るがすのです。
愛はあなたを、麦の束のように刈り取り、あなたを打って、裸にし、ふるって殻を取り、ひいて、白く粉にし、練ってしなやかにする。
愛はこれだけのことを、あなたのうちに、あなたのためにするのです。
あなたが自分の心の奥の謎をさとり、このさとりのうちに生命のひとひらとなるために。
しかし、それを恐れ、愛のやすらぎと楽しみだけを求めるのなら、むしろあなたの裸を覆い、この愛の麦うち場を避けて、あの季節のない世界へと行くが良い。
そこでは、笑っても心底から笑えず、泣いても流れるのは本当の涙ではない。
愛は愛自身のほか何も与えることなく、愛自らしか受けることがない。
愛は所有せず、また所有させない。
愛には愛だけでじゅうぶんなのだから。
愛こそがあなたの歩みを導く。もしあなたにその価値があると見れば。
結婚について
あなたがた二人は一緒に生まれた。それで、いつまでも一緒なのです。
共に過ごした月日を 死の白い翼が散らしても、あなたがたは一緒なのです。
しかし、それほど一緒の二人の間にも、自由な空間を置きなさい。
そして、そこに、天からの風をそよがせなさい。
愛し合っていなさい。しかし、愛が足かせにならないように。
むしろ二人の魂の岸辺と岸辺の間に、動く海があるように。
お互いの杯を満たしあいなさい。しかし、同じひとつの杯からは飲まないように。
お互いにパンを分けあいなさい。しかし、同じかたまりを食べないように。
一緒に歌い、一緒に踊り、共に楽しみなさい。
しかし、お互いに相手をひとりにさせなさい。ちょうど、リュートの弦がそれぞれでも、同じ楽の音を奏でるように。
お互いに心を与え合いなさい。しかしあずけきってしまわないように。
なぜなら、心というものは、あの生命の手だけがつかむもの。
一緒にたっていなさい。しかし、近づき過ぎないように。
なぜなら、神殿の柱はそれぞれ離れて立ち、樫の木と杉の木は、
お互いの陰には育たないのですから。
カリール・ジブラン
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