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Dancing The Dream より3

2010/01/18 Mon

WINGS Without ME / ぼくにない翼


八月、ぼくは空を見上げていた。

片手を額にかざすと、一羽のハヤブサが熱風の渦巻く大空へ舞いあがるのが見えた。
高く高く、ハヤブサは弧を描きながら舞いあがり、やがて鋭い泣き声を残して空の彼方へ消えてしまった。

ぼくはふいに、とり残されたような空しさを感じた。

「おまえはどうして、ぼくを置き去りにして飛んでゆくの?」
とぼくは低くうめいた。するとぼくの魂が答えた。

「ハヤブサの生きかただけがすべてじゃない。おまえはの心は、どんな鳥にも負けないくらい自由だ」と。

目を閉じると、ぼくの魂は肉体を離れ、ハヤブサと同じくらい空高く弧を描いて舞いあがった。

やがて魂はハヤブサを越え、気がつくとぼくは地球を見下ろしていた。けれど、やはり何かが違う。
この冷たさは、この寂しさはいったい何だ?

ぼくを置き去りにして、おまえは飛んでいった」とぼくの心が言う。


「愛のない自由なんて、いったい何の意味がある?」。

ぼくはすぐさま、病気で寝ている子供のベットに駆け寄り、子守唄を歌ってあげた。
子供は微笑みながら眠りに落ち、するとぼくの心は肉体を離れ、ぼくの魂と一体となって地球の上を回りはじめた。
ぼくは自由で愛に満ちあふれていたが、それでもやはり何かが違っていた。

「ぼくを置き去りにして、おまえは飛んでいった」とぼくの肉体が言う。

「おまえはただ、空想で飛んでいるだけさ」。

そこでぼくは、それまで見向きもしなかった本をかたっぱしから調べ、ほんとうに空を飛んだ聖人の話を読んだ。

インドで、ペルシャで、中国で、スペインで(それになんとロサンゼルスでも!)、魂の力が心だけでなく肉体の細胞ひと

つひとつにまで届いた例が見つかった。

「あたかも巨大なワシに持ちあげられたかのように、無我の感覚によってわたしの体は宙に浮かびあがった」と、聖テレ

ジアは語っている。


ぼくはこの驚くべき神業を信じるようになり、ようやく深い孤独感から開放された。

ぼくはハヤブサになり、子供になり、聖人になった。
ぼくの目には彼らの生命がひどく神聖なものに映り、真実が見えてきた。

すべての生命が聖なるものに見えたとき、人は誰でも翼を持つのだ、と。










ワンクリックありがとうございます<(_ _)>













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さんかるぱ

Author:さんかるぱ
アメリカ在住13年。後、大阪に居を構え広い意味での「癒し」に関わる。

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