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ある教師と教え子の物語

2010/01/22 Fri




Web上では中々知られたお話です。

いつか掲載させて頂こうと思っていました。



оΟ゜Ο。.・оΟ゜Ο。.・оΟ゜Ο。.・оΟ゜оΟ゜Ο。.・оΟ゜Ο。.・


  新米の先生が5年生の担任として就任した時、
  一人服装が不潔でだらしなく、どうしても好きになれない少年がいました。

  先生は、中間記録に少年の悪いところばかりを、記入するようになっていました。

  ある時、少年の1年生からの記録が目に止まった。
  「朗らかで、友達好きで、誰にでも親切で、勉強も良くでき、将来が楽しみ」
  とある。

  先生は、これは何かの間違いだ、
  他の生徒の記録に違いない、そう思った。

  2年生になると、
  「母親が病気で、世話をしなければならず、時々遅刻する」
  と書かれていた。

  3年生では、
  「母親の病気が悪くなり、疲れていて、教室で居眠りをする」
  そして後半の記録には、
  「母親が死亡。希望を失い悲しんでいる」とあり、

  4年生になると、
  「父は生きる意欲を失い、アルコール依存症となり、子供に暴力をふるう」
  とあった。

  先生の胸に痛みが走った。
  ダメと決め付けていた子が突然、
  深い悲しみを生き抜いている生身の人間として、自分の前に立ち現れてきたのだ。

  先生にとって目を開かされた瞬間であった。

  放課後、先生は少年に声をかけた。
  「先生は夕方まで教室で仕事をするから、あなたも勉強していかない?
  分からないところは教えてあげるから」

  少年は輝くような瞳と笑顔で「はい!」と応えた。

  それから毎日、少年は教室の自分の机で予習・復習を熱心に続けた。
  授業で少年が初めて手を上げた時、先生に大きな喜びが沸き起こった。
  少年は自信を持ち始めたのだ。

  クリスマスイブの午後だった。
  少年が小さな包みを先生の胸に押し付けてきた。

  後で開けてみると香水の瓶だった。
  亡くなったお母さんが使っていたものに違いない。

  先生はその香水を身につけ、夕暮れに少年の家を訪ねた。

  雑然とした部屋で独り本を読んでいた少年は、
  気が付くと直ぐに飛んできて、先生の胸に顔を埋めて叫んだ。
  「ああ、お母さんの匂い!今日は素敵なクリスマスだ」

  6年生では、先生は少年の担任ではなくなった。

  卒業の時、先生に少年から1枚のカードが届いた。
  「先生は僕のお母さんのようです。
  そして、今まで出会った中で1番素晴らしい先生でした」

  それから6年後、またカードが届いた。
  「明日は高校の卒業式です。
  僕は5年生で先生に担当してもらって、とても幸せでした。
  お陰で奨学金をもらって医学部に進学することができました」

  10年を経て、またカードが届いた。

  そこには、先生と出会えた事への感謝と、父親に叩かれた体験があるから、
  患者さんへの痛みが分かる医者になれたと記され、
  こう締めくくられていた。

  「僕は5年生のときの先生を思い出します。
  あのままダメになってしまう僕を救って下さった先生を、神様のように感じました。
  大人になり、医者になった僕にとって最高の先生は、
  5年生の時に担任して下さった先生です」

  そして1年後
  届いたカードは結婚式の招待状だった。
  「母の席に座って下さい」と一行添えられていました。

  新任の先生は当時22歳、学校を卒業したばかり、
  学問の教え方についての意気込みはあったものの、人を育むという
  「本来教諭が身につけていなければならない」
  ものを少年によって再認識させられたそうです。

  少年の過去、生い立ちを知ったことで眼を開かされた先生。

  先生の深い愛情で自分を取り戻した少年。

 <了>










ワンクリックありがとうございます<(_ _)>










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Author:さんかるぱ
アメリカ在住13年。後、大阪に居を構え広い意味での「癒し」に関わる。

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